天下のまわりもの

みなさま、景気はいかがですか。\r
『金は天下のまわりもの』と申します。\r
自分のところは通貨・・これはこれは願望が出てしもうた!!
通過するだけと達観してしまうのは、かえって空しいものでござります。\r

そーそ、『金のなる木』なるものをご存知でしょう。\r
肉厚の葉の、サボテンとアロエの親戚のようなヤツです。\r
昔、親分業のはじめに身内がプレゼントしてくれたのです。\r

本人にはナイショですが、コヤツが枯れてしまいました。\r

あ゛〜、縁起が悪い。\r
井戸が枯れたような気分になりました。\r

そのせいで不景気かな、とか余計なことを考えますの、人って。\r
それから年月が経ち、貧乏にもなれました頃に

「ポトリ」\r

上の階から、ベランダに落ちて参りましたのです。\r
葉の、かけらが、1つ。\r

で、Totoro殿はそのかけらを『まわりもの』と信じて植えました。\r
今や、青々と茂りわたくしたちの目を楽しませてくれています。\r

つらつら思うのです。\r
本人の申しようによると、夕べの珍客は上階の人らしい。\r
落としたまわりものの行方を捜して来られたのではなかったかと。

珍客

夕べのことであ〜る。\r

遅くからの営業活動で、帰りついたのは23時を過ぎていた。\r
約束の時刻は21時だったため、腹ごしらえはして出かけたが
ひと仕事のあとは何か腹におさめたい。\r
『さてお夜食でも』と台所に立って数分経ったときであった。\r

「ピンポ〜ン」\r

夜分に訪れるのはTotoro母か新聞の勧誘くらいである。\r
「はい?」\r
怒りの声もあらわにTotoro殿はインターホンから問いただす。\r

「ん?」\r
そのあとの様子がおかしい。\r
Totoro殿は目イッパイにドアを開け、固定したあと
何か言っている客人を残して出て行ってしまった。\r

客人は玄関口でブツブツ言っている。\r
わたくしは菜ばしを握ったままでそのブツブツを聞いていたが\r
どうもおかしい、独り言のようである。\r

「管理人は遅いから出てこなかった。」\r
戻ってきたTotoro殿の言葉であることを決意した。\r
「警察へ知らせましょう。」\r

カクカクシカジカと警察へ電話したあと
しばらくブツブツ言いながら客人は立っていたが\r
「いいです。」と言って引き上げて行った。\r

警察には丁寧にお断りとお詫びの電話を入れて
『かきあげ入り和風だし中華ソバ』を食した。\r
すっかりのびてしまったのが腹立たしかった。