受難の時代 二

その昔、お江戸では女性が少なかったと聞いております。\r
その上妻を何人も持つお大尽が存在いたしました。\r
特定の層に妙齢の美女が集中いたしますと
下々までは幸せが回って来ないのでございますよ。\r

縁あって娶りますれば、これは大変な果報。\r
で、どのようにしたかと申しますと
こまめに世話を焼いたのでございます。\r

「朝ご飯を炊くのは亭主の仕事」\r
というのが長屋の常識でございましたさうな。\r
うらやましいぢゃありませんか、ねぇ。\r

「女房のかかとが荒れているのは亭主が悪い」\r
つまり、懐に入れてあたためない、愛情が足りないと。\r

なんてことでせう、これで「懐が深い」なんて言ったのかどうか
怪しいものではございますね。\r