「あるお総菜やさん」に勤めている「ある人」の顔立ちには
どこかで見覚えがありました。\r
目元、口元、健康そうな肌色は知っている人でした。\r
彼女の仕事はレジを打ち、お客様から代金をいただくこと。\r
買い物に行くたびに名前を思い出そうとするのですが
今や中年となった彼女と最初にどこで出会ったのか\r
霧に包まれたように記憶がぼんやりとしています。\r
名前まではもともと知らなかったのかも、と考えたりしました。\r
あるときに薬局へ行くと彼女にそっくりな人が居ます。\r
姉か母かに違いないと判るくらい似ています。\r
仕事はレジを打つこと。\r
そうだ、学校だ。\r
名札もついていて、名字の件も解決しました。\r
それから何日か後のことです。\r
そっくりな顔の「若い娘」がスーパーのレジに居ます。\r
ネームプレートを見ると同じ姓でした。\r
三代に渡って店舗のレジに立っているとは。\r
感慨を味わったあとで、一つの疑惑が生まれました。\r
自分と同じ頃に学校に行っていたのは誰なんだろう。
