確か六月か七月のことでした。
年のせいか、パソコンのせいか
日々漢字が書けなくなってきた、と
嘆きを酒の肴にしての夕餉。
「ねぇ、難しい漢字は昔からきちんとはかけないもの」
「そうだね」
「たとえば薔薇とか、憂鬱とか」
「そうだね」
「檸檬とか」
「書けないねぇ」
そんな会話をした明くる日の新聞に
作家のエッセイが載っていたのでした。
駆け出しの頃ある人に『薔薇の憂鬱』って書けるかい?
と聞かれたエピソード。
・・・そうなのよね。
これって教養のバロメータなのよ。
で、そこのあなた
書けなくても意味くらいはわかります?
