玄関

何年か前の冬に、ある慰労激励会に招かれました。
料理は美味しく話題も楽しく、特におもてなしの素晴らしさに感服致しました。

その席で主賓の奥様が、ホステス役の淑女のことを称賛したついでに
「働かなくても充分なのに働いて・・・」と。

その場をやり過ごすために、わたくしも同意を表しました。

日々明るく笑っておられる様子からはうかがい知ることの出来ない「影」の端を
部外者が暴露するのは躊躇われたからに他なりません。

お屋敷と地位と名誉と経済力。
美貌と立派な子供達が加わっては、非の打ち所がない幸せと見えます。
しかし、その一方で大変な思いもしておられます。

口にできないから、苦労なのです。

年月が経ち、主賓の奥様も苦労を背負われたであろう、と推測致します。
夫と共にある間は守り抜かねばならない、その重みは並大抵ではないでしょう。

磨かれた玄関として、その責務を全うしておられる先輩方を、見習うと致しますか。