リーガロイヤルホテル\r
-空いているところは高いところよっ-
そう、時計の右手。
ミュージシャンらしき男の映った画面の背後に聳え立つものがございます。
「ねねっ、あそこにしない?」
躊躇っている夫を促してずんずんと歩き、ドアから一歩踏み入れますと
入り口で丁寧に尋ねるのはお仕着せの男。
禁煙席と告げると暫し待つよう椅子を勧められ
ほどなく案内されたのでございます。
ジーンズの、見るからに普段着の二人。
どうなることかとわたくしたちの心配をよそに
景色の良い快適な場所に落ち着けました。
きちんとしたホテルですから勿論丁寧でございます。
しかしその分、慇懃に通されたところが壁際であったなら
それはもう、かえって悲しいものがございますね。
すっかり気持ちが落ち着き、コーヒーとシーフードピザを注文。
時間がかかるとのエクスキューズも、この際は寧ろ歓迎でございます。
十分に下処理のされた海鮮とたっぷり糸をひくチーズが殊のほか絶妙で
ピザの台が厚めなのが好みからは少し外れたのを除けば
それはそれは満足の行くものでございました。
騒音がラウンジの分厚いガラスで遮られておりましたのも
快適なブレイクタイムを過ごせた一因でございました。

