月との遭遇

日没と月の入り時刻がほぼ同時なのを調べてあって
万が一、お雛様のごとく並んでいればいいな
などと考えながら散歩にでかけました。

そったら都合のいいごと、起ぎるわげもね
目をこらして、じぃぃ〜っと待てども、まんず手ぶらに等しがっただす。

ご覧のとおりの空に夾竹桃が揺れるだけでございました。

さて、昨日のことであります。
暑い中を納品に行かんと市中を走りますと
「げに不思議なる者」を発見。

戦に敗れた大将のごとき男が、広島城付近から忽然と現れましてございます。
乗り物は馬・・いや、間違い・・自転車でございました。

服装は、今や思い出せないので普通だったのでしょう。

では、何をもって武将と称すか!!
首から上がまさに、獄門台で晒された「もののふ」のようでありました。

傷などないつるりとした顔に、細いチタン製のツルの眼鏡
ザンバラ髪の後ろは、といえばこれが

満月なのでございますよ!!

肩胛骨あたりまでは届かぬとは思いますが
鎖骨よりは下にブツンと切れた髪が揺れている有り様。

・・・・・何の故あって、このように・・・少し暑さが続き過ぎたのか

など思いを巡らしておりますうちに
自転車は疾風のごとく南へ走り去ったのでありました。