
ちょっと前まで「聖徳太子」、ただいま「福沢諭吉」。
敬称略で失礼致しますよ、お札の顔様。
一万円札を勘定するとき、扇型に拡げて左端から右へ重ねますね。
そのあとです。
どうしても左手で左端から、数えたくなるのです。
しかし、長いことこれは秘密でした。
なぜって恥ずかしかったからなのです。
「左うちわ願望」が露わになるようで。
しかし、ある日、何かがパチン、と、頭の中で弾けました。
母は左利き、末弟は左利きを矯正され、もうひとりの弟は
なんと、マウスを両手に持って操作しているのを思い出したのです。
そういえば雑巾の絞り方が長らく逆ネジだったし
鍵を空けるとき、ぼんやりしていると左に回してしまいます。
はっと気を取り直して右に回したことが幾度もありました。
ね、ね、アタシってもしかして左利きの気配があったりして?
ハンガーいつも反対向きににかかってるよ。
なんだ、家族は既に確信していたのでした。
まだら左利きを。
