気持ちだけ、いただきます

 

会社は一応休みですが、役員だけ出勤するのが毎年の今日。

確認することや眼鏡の調整などがあって
二人ででかけました。

夫は革ジャンにマフラー、格子の柄のスラックスでリラックス。
気分だけでもオフにしたいっての、よくわかります。

銀行の前に停車しようとしたら、黒塗りの車が先に止まり
お仕着せではないけれど、白い手袋の男性がドアの外に立ちました。

「おっ、この混み合うときにお抱え運転手だよ」
「そうね」
「あんな風にして待っててあげようか」

すかさず返球。

「やめてくれるっ、そーゆーの、間違われるから」
行列している金融機関の店舗へ向かう背中で、笑い声が小さく響きました。