涼し過ぎる脳みそ

 

前世紀の異物、と言われても一向に構わない。

運転免許を持っていないのだ。
誰かの送り迎えがないときはタクシーを利用する。

バブル崩壊の後は、「かまぼこ板」と呼ばれる金の指輪をした者は
すっかり見かけなくなった。
そのかわり、紳士然とした小ざっぱりした人が増えて
近頃はそのどちらでもない運転手が多いような気がする。

道は知らない、運転は下手。
その上社内は煙が充満していて、不愉快になった上に料金を支払う。

なるべくは会社を選んで乗りたいのだがそうも行かない。
急いでいる往きだけ利用して、帰りは歩くことも屡々だ。

広島城すぐ近くの合同庁舎からは十五分で戻れるが
ノートパソコンを下げていると二十分はかかる。

鯉城通りを渡り、市民病院の前からそごう側へ
そして球場を右手に見て、相生橋を越えると我が家。

いや我が社のあるビルに着く。

この間何かを考えていたはずなのだが
今思い出せるのは「靴が減る」心配ただひとつである。