失せモノ 二

家中を何度探し回っても、見つからないまま夜は更けるばかり。
ついにあきらめて床に就いたのでした。

やがて朝を迎え、いつものように仕事が待っている身。
落ち着かない気持ちで出ようとした玄関口で、もしや、と足が止まりました。

最初に見たところをもう一回!!

踵を返して食卓の脇を通り抜け
テレビの台にしている家具の引き出しを開けてみます。 

すると、何事も無かったかのようにCDは収まっていたのでした。
嬉しさと不思議さに包まれながら出勤したその日
またしてもバッグの中身をさらっている自分に苦笑を禁じえません。

七回探して人を疑え。

この戒めは母の言葉ですが、「人」とは第一にはこの自身のことを指すかと
心のうちは情けなさに満ちてくるのでした。

かき回しながら今度こそは紛失かと結論が出掛かった瞬間、指に当たりがつきました。
鞄の内壁に張り付いているカードでした。

合掌。。。