九死、さてどうする

 

夕暮れ迫る国道で、甲子園の中継を聞く。

右に折れればドラッグストア、というところで試合は9回表。
我らが 「広陵高校」 対 強豪「駒澤苫小牧」、スコアは3-2。

信号待ち、ウィンカーはカチカチと音を立てる。
後攻めは相手、同点にできてようやく延長の可能性。
デスパレートな球児たちよ、ここで引くことはあいならぬ。

おっと、ノーアウトでランナーが3塁。
よし、スクイズだ、取りに行けっ。
広島商業ならやるぞ、とりあえず同点だ。

妻は監督の采配に文句をつける。
広島人なら女子供でも細かいことを言っちゃうのだ!!

ところが犠牲フライを狙ったつもりが中途半端であっというまに二死となる。

こんな負け方しちゃ、広島には帰れんゾ。
夫の声が大きくなる。

なんだ、おめえさん九州人だろっ、と思うところで車は駐車場に。
ちょっとこれ観てからね。
と言ってテレビの画面を点け、二人して見入る。

コツン。

ヒットだ。
よし、とりあえずそれで。
二塁もどうにかセーフだ。

あらっ、ばかやろう。
三塁走者飛び出たよ、挟まれてアウトだね・・・違う。

ありがたいことに三塁をそれてトンでもないところに投げてくれた。
走者一掃の逆転劇。

ここまで観て店に入った。
一勝を得た広陵、よくやった、天晴れである。