続 瀬戸田夏祭り

瀬戸田サンセットビーチは夕陽が美しいので有名である。
平山郁夫画伯の美術館からも遠くはない。

会場周辺に着いたときは午後二時が近かった。
聞いてみると駐車場はもういっぱいで、小学校に停めてくれと言う。

そこまでは二キロぐらいあるそうだ。

右の一角に空きがあるが、と尋ねるとそこは関係者用だと返答があった。
今から関係者になるのはどうかと提案したが却下された。

とは、運転席に戻ってきた夫の話である。

少々なら歩く覚悟でいたものの、流石に納得できる距離ではない。
仕方なく海岸沿いを走っているうち、「パーキング」の表示を見つけた。
白線はいびつで、最後は尻切れになっているが違反ではなさそうだ。
花火が上がる場所まで歩いても五分ぐらいだと思われる。

とりあえず最後尾に並ぶ。
食料も水も完備である。

上等だ!!

安心して窓から差し込む日差しを帽子や椅子の傾きで避(よ)け、テレビを点ける。
二時間ドラマの再放送が始まったところだった。
観たことがあるような気もし、またそうでない感じもするまま番組は終わった。

突然行列の前のほうが一台抜け、その前の
最初に見た駐車場の出入り口にも動きがあった。

夫は走って管理スタッフの居場所まで行き、空きが出たのを確認して戻ってくると
喜び勇んで「関係者用」の一角から通路を挟んだ反対側に滑り込んだ。

花火大会の始まりは八時三十分。
それまでは神楽やライブが続く。

三脚を据えて待っている間に、若者たちが写真を撮って欲しいと言ってきた。
カメラを受け取った夫は、夕陽を背景にしたい皆の希望を察し
立ち位置をアドバイスして何回か撮り、プレビューを点検して返した。

コンパクトタイプは苦手と言いながら、撮ったが最後満足できるものにしたい。
性であり、業なのである。

瀬戸田夏祭り

 今年は墓参りが遅れた。

 盆でなくてもかまわない、行けるときが出来るとき。
 呉の墓所の近くまでは車で一時間の距離であるが、この暑さである。
 山道を上るのが「行」と毎度感じていた。
 今年は更なる思いである。

 ふらりと立ち寄ったカメラ店で出物があり、夫用に三脚を購入した。
 これまでは雲台の取り付け付近が甘くふらつきがあった。
 撮影中に「ガクン」とうなだれるので困っていたのである。


 ほっ とすると腹が空く。

 
 竹原の老舗「藤井酒造」内に、
 蔵の一部を利用した「たにざき」というそば屋があるのを思い出した。

 猪口、ぐい飲みが用意されている店内。

 今日は眺めるだけで恨めしい口ぶりだが、解決方法はない。
 車一台、おとなふたり、免許証は一枚だけである。

 メニューに「たざる」というのを見つけた。

 ざるが650円で900円のそれは何だろう。
 注文するのは天ざるセットととろろそばと決めているのに
  好奇心から尋ねてみる。

 答えは「大ざる」。

 珍道中は続く。