「婦唱夫随」と呼ばないで

解説の必要がございましょうか。

ひとしきりお笑いになりましたら、続きに参ります。
さて、皆様お立ち会い。
ご用とお急ぎでない方はこの馬鹿話にお付き合いを。

本日夕方、ベン。
ちょいと買い物、ベン。
ぶらりときまぐれ女房、ベンベン。

立ち寄りましたは、コンビニエンス。
レジには若い娘(むすめ)だ、おでんもいいがと店を見回す目の先は、ベベンベン。

キャンディ、グミの棚の下。
そこに居ました可愛いスプーン柄、ベン。

これは話の種に、と手に取ると、下にあったよ「發」の文字。
さらに見つけた「萬」の姿に、驚きは隠せぬ調子者。

一目散に戻るや、購いし十(とお)ばかりを亭主に見せたのであります。

・・・残るはどうするか。

語らぬうちから利害は一致。
陽が落ちて、帰る寄り道、赤緑(せきりょく)看板巡りまして
片手で足りぬ訪ねた店のその数や如何。

「ありがとうね、こういう事に付き合わせて、いつも」
神妙に礼を述べた古女房、亭主の返事は期待どおりの九州弁。

「揃うまで食べられんし」

これが世に聞く不承不承、いえ婦唱夫唱。
・・・お粗末でございます。