はだけて見せた胸元には水晶が幾重にも巻かれていました。
たぶん一重の周囲は50センチ超。
100センチのものもありそうな様子です。
透明と薄い紫の、カットされた小粒の珠が輝くそれらを誇らしげに指先で触りながら
彼女の更なる蘊蓄は続きます。
「本物なの。高かったけど。」
「これは洗わなくていいから楽なのよ」
夏の熱い時期に麻は手入れが大変だけれど
水晶はブラウス代わりに良いのだと合理性を主張するのでした。
おしゃれなんだか横着なんだか。
とうとう聞いているのが辛くなって、その場を後にしました。
肩が凝るだろうな。
あのまま続きを聞いていたら、肩こり解消とかダイエットとか
店が閉まるまで話題は尽きなかっただろうと考え、背筋が凍ったのでした。
