転ばぬ先の、足裁き

近頃、歩き方に老化の兆しを感じています。
運動不足も手伝って、脚力が衰え気味なのでしょう。

意識して歩幅を広く、爪先に気をつけて!!
「考えて歩く」日がやってくるとは思いもよらなかったと
苦笑いをしながら銀行に向かっている途中
40代後半と思しき男性を前方に見つけました。

細身でダークなスーツ。
鞄を提げているサラリーマンらしき姿が
少し前かがみで右に左に揺れているような気がしました。

コツン、バタン。

男性は躓きました。
転びはしなかったものの、ヨロヨロと崩れた足元を
訝しげに眺めて、確認のために振り返ります。
石ころか段差でもあったのだろうか・・・。
本人は納得していない様子ではありましたが
気を取り直して以前の姿勢に戻りました。

おっちゃん。
足、上がってまへんで。

見てたさかい。

埋蔵金なるものの噂がこのところ飛び交っている。
どこぞの金庫に眠っているが、株価の暴落で目減りしているだ、というのや
江戸時代の怪しい言い伝えを真に受けて、凝りもせず掘り返しているのや
まあ、大抵は殿方の戯言なのである。

先日、社内でその話題からそれて、あるスタッフの、田舎の知り合いのことに及んだ。

知り合いの名前を私は知らぬので、仮にA氏としておこう。
たぶん50代の分別盛りであると思われる。

何でも萩の旧家の蔵の白壁から小判が出たという。
A氏は島根県に住んでいるが、萩と地理的にそう遠くはないことから
自宅の蔵にも埋め込まれている可能性があると考えた。

女房を始め、母親や妹は「男特有の妄想だ」と決め付け相手にしなかったが
ご本人は納まらず、ついに金属探知機を使って調べることになった。

すると、あちこちでピッ、ピッと反応したということだ。

どこもかしこも鳴るので「さぞや」と心騒いで蔵中をつぶさに見たところ
探知機の音をたどって行った先には
柱や棧に打ち込まれた釘がたんとあった、ということである。