路の途中 二

寄り道であっという間に一時間近くを費やし
日の暮れぬうちにと脇道に置いていた車に乗った。

夫が言う、何か音がしないか。

耳を澄ませば、左後ろからかすかな、しかもリズミカルな雑音が聞こえる。
パンクのような気がするな。
あら、停めなくちゃね。

どれくらい走ったか定かではないが、あまり長くはなかったように思う。
トラックが駐車している、広い路肩があった。

降りて、後輪を確かめると案の定タイヤは萎み始めていた。
トランクからジャッキと工具を取り出して、夫は難なくスペアと交換する。

ねぇ、初めてスペアタイヤを見るけど、これって自転車用みたい!!

タイヤの幅が半分ぐらいなのだ。
アルミホイールなしの、黄色い金属がむき出しの姿は全く貧相で情けなかった。

ねぇ、トランクに一本、ちゃんとした『本物』を用意しておけないの。