父と母には、当然のことながらそれぞれ母があって
祖母の実家は父方、母方とも医師をしていたらしい。\r
江戸末期、曾祖父は貧乏医者であったのか\r
明治生まれの娘をいずれも偶然に商家に嫁がせたのである。\r
方や富山、方や四国と距離がありながら\r
後に東京で子孫同士が結婚するとは考えもしなかったはずだ。\r
『縁は異なもの味なもの』と言える。\r
小学生の頃、理科の授業で『解剖』をした。\r
カエルとフナである。\r
結構楽しかった。\r
就職してから、ある日先輩に呼ばれて行くと
「背中におできがあるので潰して欲しい」と言う。\r
見ると直径1センチほどもあって
腫れて赤くなっている中心の黄色い部分は
圧力にすぐ屈する準備ができているように思えた。\r
自信はあった。\r
だが一応は聞いてみる。\r
「いいのかしら。」\r
「やって!!」\r
椅子に腰掛けると背もたれに丁度あたる箇所らしく\r
仕事にならないと力を込めたあと
「あなたなら!!」\r
悲鳴を上げても必ず押さえつけて事を為すはずだ、と主張する。\r
そしてその通りになった。\r
今は、時々夫のニキビを始末する日々である。
