顛末

雨の午後。\r
窓越しの、煙る景色。\r
それを眺めながら、貴方の胸に去来するものは一体なんでしょうか。\r

さぁ、余計なことは考えずに
温かいお茶の馥郁とした香りを楽しみましょう。\r

先ほど、扉の向こうにオレンジ色の人影を見かけました。\r
廊下に出てみると、ドアのとってに手をかけて
開けようとしている女性が居ます。\r

鍵のかかったドアのノブを何度も回しているうち
焦りと不満で、腕の力がどんどん強くなっていくようです。\r

たまりかねて声をかけると
彼女の訪問先は、ひとつ上階に入室している会社です。\r
隣室のテナントは、数ヶ月前に少し広い部屋へ移転したのでした。\r

「恥をかいたわ、言ってくれなくちゃ。」\r
充実した声の主は、二人の子供とエレベータに乗り\r
ゆっくりと視界から消えてゆきました。